sumika design room
  • kousya(工舎)
    • 新築のしごと
    • 店舗やリフォームなど
    • 家具・こもの
  • Workshops
    • MORI NO TOY CAMERAについて
    • KINOHANA SUMIKAについて
  • sumika.aroma
  • -food lab.(cafe)-
  • Contact

梅田千晶さん/相野谷由起さんによる、絵本幻燈会を行いました

10/5/2015

 
Picture


【絵本幻燈会って、何?】
​
絵本画家 相野谷由起さんと
ハープ演奏家 梅田千晶さんに
​コラボをお願いして実現。
隠れ家的な空間の中で、
絵本の朗読とハープ演奏に浸るという、
​贅沢な企画です。

Picture
スライド映写機を使ったレトロな絵本読み聞かせ会。大人ゴコロにグッと響きます。
薄暗い空間に、スライド映写機がジジッと投げ出す暖かい光。
聞こえてくるのはスライドを手動で動かす「カチャン」という乾いた音。​静かなナレーション。
そして遠く離れているのに何故か懐かしい、アイルランドの音楽を運ぶハープの音色でした。


絵本のお話は『うさぎのさとうくん』。作者自身が読んでくださるという贅沢。
Amazonのレビューにも「隠れ家的な場所で読めば贅沢な時間を味わえるだろう。。。」的なことが書いてあります。
​本当にその通りでした。


​「・・・青い氷を溶かして、冷たい紅茶を飲みました。
この氷には、悲しいことが溶けていたので、
悲しい味がします。

橙色の氷を溶かしてみると、
うれしい空気で部屋がいっぱいになります。

でも、さとうくんが一番好きなのは、
色んな色の氷を、
少しずつミルクに浮かべて飲む事です。

次から次へ、氷が解けて、
さとうくんは夜遅くまで、
色んなお話を楽しみます。」
前日の元気プランのように、青空と山々の間で響かせる演奏も最高でしたが、
木の空間の中で凝縮されたこのハープの音色もとても良かったです。
一話読み切りの後、下の動画のように、最後のスライドを残したままハープが独奏を聴かせてくれるのですが、
これがもう最高でした。
さとうくんにとって人生の酸いや甘いは、さながらミルクに溶けていった氷のようなんですね。
どうせなら一つの味じゃなくて、悲しい味も優しい味も全部ひっくるめて、堪能しながら生きていこう、
というある種 飄々としたさとうくんの姿が、
アイリッシュハープの秋風のようなメロディに乗って、力強く表現されていました。
もうこれは、本当に子供向けの絵本なんでしょうか、僕はどうしようもなくウイスキーをロックであおりたくなってしまいました。
珈琲のご注文を頂いておきながら、スタッフが給仕もせずに演奏に聴き入ったあげくウイスキーを欲しているという、カフェとしては最悪の状況でしたが、幻燈会は大盛況のうちに幕を閉じました。

第二幕:ハープ演奏とライブペインティング

幻燈会が終わり、第二部は昨日に引き続き、ライブペインティングとハープのコラボレーションでした。
​開始前に少し時間があったため、色々とお話を聞かせていただくことができました。

画像最も張力のかかる頭頂部には、桜の木を使っているようです。
こちら、梅田先生のアイリッシュハープです。アイルランドで当地の職人さんに頼んでから完成まで約2年かかったそうです。2年後のある日突然メールで完成の連絡が届いたとのことですが、もし自分だったら英語でしかも高額な請求が突然来たら詐欺と間違えて無視してしまうため、ハープは一生届かないなと思いました。

この独特の形状ですが、アイリッシュハープは弦の張力が1トン近くかかるため、こういった曲線の形状でないとある日突然ばきばきっと折れるそうです。
また写真奥側の、奏者側は空洞の作りとなっていて、そのためハープの音は良く響くのだそう。

Picture
綺麗で優しい先生が、ハープのアレコレを教えてくださっています。
Picture
経験者のようで、先生もハープをプチ指導しています。優しい。僕は素人なのでやめておきました。
Picture
先生、背後でハープの輪が広がっています
また、naheleにて現在、相野谷先生のライブペインティング作品を展示中です。
Picture
写真だと中心部分が多少見えにくいですが、気になる方は是非足を運んでみてください。
​どの作品も、色彩のエッジが効いているのが写真で分かるでしょうか。
​一方で、具象化しすぎず、安易に抽象化もせず、その境界線上にゆらゆら在ることで、
​作品自体にどこかまどろみのような優しさがあり、
​そのギャップがある種 人間に近いというか、独特の魅力を放っています。
​
下の大きなサイズの絵は、前日にかのさわ元気プランにて相野谷先生が描かれた作品です。
Picture
「あらすごい」という声が聞こえてきそうな、作品を見た皆さんのご様子。自然とライブにも期待が高まります。
そしてライブペインティングのスタートです。
イベント中に梅田先生が何度か言ってくださいましたが、木で囲まれたこの空間自体が「まるで楽器の体内にいるようで、アコースティックの楽器演奏には最高の環境」なのだそうです。
​たしかに足から這い上がってくる音の波がとても気持ちよかったです。
とっさに「首相公邸で演奏した時の10倍くらいは良い環境ですか?」と聞きそうになりましたが、20代中盤にしては発想が貧しすぎるので辞めました。そういう訳で、アコースティック演奏者の皆さんこれからひとつよろしくお願い致します。
Picture
進行は、梅田先生が曲の解説を交えながら、テンポよく進めてくださいます。すいません聴き入ってるうちに絵もかなり進んでいます。
Picture
真剣なまなざしで描き進める相野谷先生
Picture
1. 完成間近です。曲のテンポにスパートがかかるというすごい演出
Picture
2. 完成〜おめでとうございます〜♪
Picture
3. ん?梅田先生によるダメ出し。。。?
Picture
4. 変なこと書いてすいません。最後に梅田先生のサインが入り、完成しました(一番下らへんです)
曲は、アイリッシュの有名どころから梅田先生のオリジナルまで、幅広く演奏して下さり、1時間ほどでしょうか、めでたく完成致しました。
しかし、グラミー賞取る人と共演したり、首相から呼ばれて演奏するような方の演奏を一日中聴けるというのは、これは贅沢を通り越して感謝の気持ちでいっぱいになります。ありがとうございます。
​
アイリッシュやスコットランドなどの音楽は明治期から日本にも輸入され学校教科書にも組み込まれてきた歴史があり、そのためか分かりませんが、妙に心の琴線に触れるのですね。
ちょっと調べてみると、アイリッシュ/スコティッシュも日本の民謡も、ファとシの音が少ない(あるいは無い)という共通点がありそうなのですが、、、これは自分で検証するのは面倒です。なぜアイリッシュ音楽はこんなに美しく聴こえるのか?(僕だけだったらすいません)

まぁロマンある仮説を考える方が好きなので、FAN.WORK的な視点で考えてみたいと思います。周りで手仕事のモノ作りをしている人たちを見ていて感じるハンドワークの重要な要素として、「作り手の裁量が大きい」が故に生じる「真面目な遊び」という要素と「ライブ的対応の構造化」という要素があります。すいません、どちらも僕個人の考えなので分かりにくいと思います。。(よく、何言ってるかわかんないと言われます)。端的に言えば、アイリッシュ音楽にもハンドワークなモノ作りと似たようなDNAがあるのではないかと。そしてその要素が長い目で見た時に、音楽の自浄作用として働き、今ある音楽が形成されてきたのではないのかな、と今回のイベントでずーっとアイリッシュ音楽に浸る中で感じました。

まず、アイリッシュ音楽は伝統的に譜面が無いので、「Aメロは同じでもBメロは演奏者によってバラバラ」みたいな現象がよく起こると梅田先生に教えていただきました。それは正に「演奏家の裁量」を地で行く話です。作曲家が作った通り(伝統的には譜面が無いので無理ですが)あるいは権威が正しいと言った通りの音楽が聴きたい人がいるとしたらこれはつらいかもしれません。そういう、裁量の文化の外側の人からすると怒りたくなりそうな状況が容易にイメージできます。「Aメロがこう、ガーンと来て、ほいでBメロはこう・・・ってならんのかーい」みたいな感じでしょうか。それが真面目な遊びとしてライブ的に、ずーっと昔から続いてきているんだと認識されないとツラい話です。
しかし演奏家自身に裁量が残るということは、​代を重ねる毎に選ばれた部分だけが残り、不要な部分が淘汰されるというダーウィンの進化論的な原理がはたらく余白も残しているのかもしれません。例えば今回のライブペインティングで梅田先生が冒頭に演奏してくださったのは、
ターロック・オ・キャロラン( Turlough O'Carolan)の「キャロランと洗濯女のケンカ」、「妖精戦争」(すいませんタイトルは大雑破です)の2曲でしたが、梅田先生の演奏は言わずもがな、名曲でした。ではキャロランが作曲した当時(17世紀後半〜18世紀前半)の姿のままを、現代の私たちが聴いたとき、同じように「名曲だなぁ」と感じることが出来るのかどうなのか。結果として改善されてきたのか改悪されてきたのか、個人的な空想としてはとても興味ある話です。が、今回実際に肌で感じたことは、偉大な一人二人の作曲家だけの所業ではなくて、一人ひとりの演奏家たちが、譜面が無いことで自由に演奏できたり、今もそうしているという伝統こそが、アイリッシュ音楽を美しく響かせてくれる一つの要因になっているのではないかな、ということでした。
​
梅田先生のような超一流の方でも、「『うさぎのさとうくん』のお話なので、今の曲はウサギの心拍数の早さで弾いてみました♪」と、至って真面目に遊ぶことができる、この伝統からは学ぶところが多いな〜と感じました。
​
Picture
両先生、今回は本当にありがとうございました。またお願い致します。

Comments are closed.

SUMIKA

© COPYRIGHT 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
  • kousya(工舎)
    • 新築のしごと
    • 店舗やリフォームなど
    • 家具・こもの
  • Workshops
    • MORI NO TOY CAMERAについて
    • KINOHANA SUMIKAについて
  • sumika.aroma
  • -food lab.(cafe)-
  • Contact