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日本自然保護協会 応接室
「オフィスに森空間を」プロジェクト

名古屋でサラリーマンをやっていた時から、
日本自然保護協会様の活動には興味を抱いていたので、
​その応接室のデザインを任せて頂けたのはかなり嬉しい出来事でした。。。。

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【デザインコンセプト】
・協会の持つストーリーやヴィジョンを
​来訪者に伝える仕掛けとしての空間。
・都会の中の森空間。
​

【キーとなる要素】
・全体デザインは豪快に、自然の造形美を見せる
・細部に職人魂を見せる
・イヌワシの住む森の木で作ること(資源の利用=自然保護とつなげること)

「森を守るシンボルが、必要だ」

イヌワシという猛禽がいます。
いわゆる「イーグル」ですが、日本に存在するのは
​500体前後と推計されています。結構少ないですね。
森の生態系の頂点に位置し、その存在は森の生物種の多様性を示すと言われます。
​
要は、イヌワシのいる森は豊かな森だ、ということですね。
協会もイヌワシの保護活動を全国で展開しているので、
その象徴として、イヌワシをかたどったオブジェを作りたいと思いました。
一枚目が参考とした実物の写真。二枚目が作成したオブジェです。
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撮影:Oriuchi Koichiro氏、提供:日本自然保護協会
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「そしてどうせなら、イヌワシの森の木を使おう」

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赤谷の森での、自然保護協会の調査活動
森林は、密になっていれば良いというものでもないようです。
例えば、イヌワシが狩りをするためには、
獲物を捕まえるための空き地が森の中に必要。
​木を使うことで、森の生物保護に役立つというワケです。

今回僕は、自然保護協会が活動する「赤谷の森」の杉を使うことにしました。
イヌワシやクマタカが住む森です。
壁面に豪快に木を使うことで、オフィスの中にも森空間を造りました。
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家の隣に製材小屋があるので、そこで丸太を製材しました。

そしてカンナをかけて、仕上げてみたら、、、
テッカテカの杉が出てきましたよ。
​細かくせず、豪快に使おうって提案しておいてよかった〜!!
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壁面にこの赤谷の杉を設置して、
そこへイヌワシのオブジェを掛けました。
​木に止まるイヌワシの図です。森空間の完成です。
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「厳しい自然が生み出した美を、カタチに閉じ込めて」

日本有数の豪雪地帯である谷川連峰。
その麓の厳しい環境の中で育つ木は、
降り積もる雪のように外部から大きな力がかかるため、
成長が遅く、しかも曲がったりクセが出たりしやすいという特徴があります。
建築の製品としては、扱いにくく厄介者にされてしまう彼らですが、
実はものすごく美しい木なのです。
環境が厳しく、外部圧力が強ければ強いほど、
木の内部は充実していき、テッカテカに照りを持つのですね。
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木の表面、なんだか3Dに見えてきますが、
平面です。テリッテリに照ってます。

扱いの難しさは、確かにあります。
特に、栃ノ木は芯とよばれる木の中心部分のあばれ、クセが強いです。
​だから大前提として、この芯の部分は取り除く必要がありました。
​
それだけ手をかけても、この美しさを形に閉じ込めたいと思ったし、
森林資源の有効利用という、協会の理念とも合致する仕事になると思いました。
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なるべく板として使用できる部分が残るよう、ギリギリの芯ラインを探します
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天板が完成。
​普通の形状のテーブルでは、シンボリックな空間演出には弱いと思ったので、
敢えて木肌のオウトツの部分を強調するようなデザインとしました。

「あばれるもの同士を組み合わせるには、
​発想の転換が必要だ」

このデザインだと、当然ですが、中央部分にぽっかり穴があきます。
​木の美しさは強調したいけど、穴の存在がマイナスになって欲しくない。
下部分に板でも貼ろうかと一瞬思いました。
しかし無理矢理、二枚の天板をつなげると、各々のクセが強いので、
つなぎ役の板を割ってしまうかもしれない。。。。
自分の中に、なんとなく、
テーブルって天板同士がピシッと一枚にくっついているものだ、
という思い込みがあったワケです。

そんな中、図面と毎日にらめっこしていたら、
テーブルの脚デザインを変更することで、
​脚の部分で間接的につながれば(平面が出せれば)いいじゃん、と発想が転換されました。
​
​するとですね、あれ、穴の部分って、構造的な役割が無くなったら、
装飾するのに丁度良い場所じゃないか!と気づいたわけです。
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いつもお世話になっている、土壁専門の左官屋さんにソッコーで電話しました。
​
​土蔵の入り口などが漆喰で色々な模様に装飾されているのを見たことありませんか?
左官仕事は、何も壁面を造るだけじゃない、色々な可能性があると常々思っています。
テーブルの装飾になってもいいじゃないか、と思いました。

相談したら、快諾してもらえた上に、
顔料の調合は僕がやっていいと。。。恐縮です。。。
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顔料最高。群青愛してる。
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群青ベースに色んな色を混ぜ、理想の色に近づける
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「表面にコテの跡は残したくないけど、砂の動きのラインは欲しい」
という、圧倒的にめんどくさい僕のワガママにも余裕で対応頂いてしまいました。。。
個人的に今回一番感動したポイントです(涙)
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栃ノ木の天板に負けないくらいテッカテカに仕上げてもらえました。
群青の漆喰を塗ってもらった板を
​栃の木の天板の間にサンドイッチして、完成!

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「クギを使わない、木組みの椅子」

最後は椅子です。
大工がつくるので、家具職人さんの作り方とは多分違いますが。
釘を使わず、木と木を組んで一台の椅子を作り上げます。
スミカの造る住宅と同じ考え方です。

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ほぼ全体を、奥利根ヒバで作りました。
もう世の中に出回ることのない、貴重な木ですが、
過去に乱伐されてきた経緯があります。
人と森との関わり方を考えさせられる椅子なのです。
スミカでも、20年前から大事に大事に使っています。

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なるべくシンプルに、ミニマルなデザインが好きなので、
そういうデザインを心がけました。
細部には遊び心を忘れず、
一部、木の色を変えることでアクセントを作り出したり、
平面から突起をのぞかせたりしたら、
​可愛い感じの椅子になったかな?
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全体デザインは豪快に、自然の造形を見せる。
細部には、職人魂を見せる。
そういうバランスを、良い具合に空間に落とし込むことが
出来たかな〜と思います!

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